10月15日(土)・16日(日)に、岡山国際サーキットで開催された「ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第6戦 『スーパー耐久レースin岡山』」。客席やイベント会場にて、「Mobility for ALL」アイデアコンテストの一次選考を通過した17チームは、二次選考を兼ねて実証実験を行いました。
九州工業大学のメンバーで構成された「すぐ創る課」は、メタバースを利用して「レース会場に潜むハンディ探し」を提案。また株式会社アーキネットは、イベント会場でのトイレ問題を解決へ。どちらのプロジェクトも、障がいのある方がレース会場で過ごすときの不安を払拭しようとしています。
実証実験当日、2チームはどのような様子だったのでしょうか。選考委員による選考を終えての感想とともにレポートしていきます。
メタバースを利用し、会場内での過ごし方を事前に疑似体験
九州工業大学のメンバーで構成された「すぐ創る課」は、障がいや病気によって困っている人、または高齢者を最新技術で支援する学生団体です。Mobility for ALLでは、仮想空間内に岡山国際サーキットを作成。メタバースを利用して、いろいろな障がいを持った方に向けた「会場に潜むハンディ探し」を実現するために実証実験をしました。
当日はブース内にパソコンを並べ、仮想空間を誰もが体験できるように設定。選考中も実際の画面を見せながら、会場に行く前にレース会場で過ごす疑似体験ができるメリットを伝えていました。
世の中に役立つ評価を受けつつ、課題は「プラットフォーム化」
実証実験を終え、「すぐ創る課」の中心で活動している九州工業大学 大学院生命体工学研究科生命体工学専攻 博士後期課程1年生 山﨑駆(やまさき かける)さんに話を聞きました。
日々多くのことを学んでいる学生の視点から、プロジェクトの意義を審査員へ熱心に伝えていた「すぐ創る課」。選考後は晴れやかな表情を見せつつも、課題が具体的に見えていたのが印象的でした。
車いすユーザーのトイレ問題の解消を目指す、mobilecube
株式会社アーキネットは、開発中のトレーラーハウスmobilecube(モバイルキューブ)を活用し、車いすユーザーのトイレ問題の解消を目指しています。本来は森の中等で居住空間として使うmobilecubeですが、Mobility for ALLでは仮設の多目的トイレとして使えるようカスタマイズしました。
実証実験当日は、選考委員がmobilecube内を車いすで移動しながら見学。トイレも実際に使ってもらい、プロパンガスを使って汚物の水分を蒸発させ、わずか10分で炭化できる仕組みを体験してもらいました。またmobilecubeにスロープを付けて、トイレまでの移動を問題なく行えるか等を検証していました。
衛生的で、においが残らない。用途の広さにも期待
実証実験を経て、株式会社アーキネット代表の織山和久(おりやま かずひさ)さんに話を聞きました。
mobilecubeは、車いすユーザーのトイレの課題を解決する方法として提案しています。ただ、活用方法はそれだけではなく、多くの場面で役立つ可能性を感じた実証実験でした。
おわりに
「会場内で過ごすうえでの課題を解決したい」思いを持っている、すぐ創る課と株式会社アーキネット。実証実験を見ていて、サーキット会場等のイベント会場には思わぬところにハンディがあると改めて感じました。
メタバースを活用して課題を解決する方法、多目的お手洗いという物理的なハコを用意して課題を解決する方法。全く違う角度からサーキット会場を見ることで、解決したいことはもちろん、解決できることも多くあるのだという気づきにもなりました。2チームの今後の展開が楽しみです。
Mobility for ALL 実証動画
実証実験の様子を、動画でも紹介します。