【実証実験レポート】移動の可能性がもたらす未来への挑戦 ePARA / Cone・Xiとソーシャルアクション機構

岡山国際サーキットday2

10月15日(土)・16日(日)に岡山国際サーキットで「ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第6戦 『スーパー耐久レースin岡山』」に合わせて開催された「Mobility for ALL」。一般財団法人トヨタ・モビリティ基金が「移動の可能性を、すべての人に。」をコンセプトに、アイデアやソリューションの社会実装を目指すアイデアコンテストです。

カーレースで盛り上がる客席やイベント会場にて、一次選考を通過した17チームが最終選考に進もうと実証実験を行いました。

中でも、移動の可能性に向き合い挑戦したのが、株式会社ePARAと、株式会社Cone・Xi/一般社団法人ソーシャルアクション機構のコラボレーションチームとの2チームです。取り組み内容のほか、実証実験を経て得られた気づきや、参加者の声を紹介します。

株式会社ePARA 「クロスライン-ボクらは違いと旅をする-」

障がい当事者がe スポーツを通じてコミュニティを形成し、オンライン・オフラインで繋がるプロジェクト。「クロスライン-ボクらは違いと旅をする-」と名付けられました。ゲームで学んだレースを生観戦して感じる「違い」、様々な障がい当事者と交流して感じる「違い」、旅の後で気づく過去の自分との「違い」を楽しむ旅です。

ePARA eスポーツイベント

10月15日(土)18時、全国各地から合計27人がホテルグランヴィア岡山に集合。オンラインで参加するメンバーも旅を盛り上げました。2泊3日の旅の工程は以下です。

  • 10月15日(土)ホテルグランヴィア岡山でeスポーツイベント「ボクらのe スーパー耐久レース ~岡山国際サーキットでつなぐハンドル~」を開催
  • 10月16日(日)岡山国際サーキットへ移動し、スーパー耐久レースを生観戦
  • 10月17日(月)ホテルグランヴィア岡山で振り返りやグループワークを等開催
ePARA 移動中

株式会社ePARA代表の加藤大貴(かとう だいき)さんに10月16日(日)、岡山国際サーキットにて話を聞きました。

ePARA 加藤さん
写真右が加藤さん
まだ旅の途中ではありますが、開催してみていかがでしょう。

加藤(敬称略)
eスポーツイベントでは、二人羽織のようにレースに取り組む人や、足だけ・左手だけですごく上手にレースをする人等がいて、盛り上がりました。失敗してもいいという雰囲気と、みんなでプレーを讃える雰囲気があったのが良かったです。

交通事情等で岡山国際サーキットへの到着が遅れてしまう等小さなトラブルはありましたが、そういった予想外の展開も仲間がいるからこそ楽しめています。

旅とeスポーツの相性がとてもいいということがわかったので、これからもよりたくさんの方を巻き込みながら、一緒に楽しめる社会を作っていきたいです。

ePARA eスポーツイベント

また、参加した方からは、以下のような話を聞くことができました。

  • 車いすに乗っているということもあり、これまでカーレースは縁がない世界だったけれど、新鮮な気持ちで楽しめました。
  • 障がいを持つ人同士、垣根を越えてお互いを理解した交流が、すごくいい経験になったと感じています。
  • 美味しい食べ物や仲間との交流等、旅そのものを楽しむことができています。参加できてよかったです。

おそろいのウィンドブレーカーを着て、岡山国際サーキットのあちこちで思い思いに自由行動を楽しむ参加者の方の姿が印象的でした。

ePARA クロスライン
ePARA_CARNIVAL

株式会社Cone・Xiと一般社団法人ソーシャルアクション機構 会場までの送迎の仕組み

稼働していないデイサービス等の福祉車両を活用し、障がいを持つ利用者と訪問看護師との乗合いでの移動支援を企画しました。利用者の特性に合わせて訪問看護師と車両をマッチングすることで、安心して移動と観戦ができるというプロジェクトです。

Cone・Xi 車両到着

実証実験は10月16日(日)。看護師を乗せた車が、利用者の自宅から会場となる岡山国際サーキットまでを送迎しました。岡山駅から岡山国際サーキットまでの距離は約60km。利用者の自宅の場所により前後しますが、約1時間半の旅路となります。

12時頃を皮切りに、岡山国際サーキット内の予定されていた駐車スペースに続々と車が到着。利用者達は同行の家族や看護師とともにスムーズに降車し、会場に向かいます。学生ボランティアも会場での案内をサポートしました。

Cone・Xi 降車

株式会社Cone・Xi代表の高木大地(たかぎ だいち)さんに10月16日(日)、岡山国際サーキットにて話を聞きました。

帰路があるのでプロジェクトの途中ではありますが、実施してみていかがでしょうか。

高木(敬称略)
人工呼吸器をつけている方や車いすユーザーの方、障がい当事者の他に同行のご家族にも岡山国際サーキットを楽しんでいただけました。

うれしい声をいただく一方で、課題も見つかりました。車両のマッチングのほか、ドライバー、看護師、利用者とその家族、事務局と、関わる人が多く、その管理や情報共有が行き届いていたか不安が残るので検証していきます。

例えば、駐車場の場所や体制、会場でのチケットの提示方法等の情報共有がうまくいっていない部分がありました。また、アプリの起動がスムーズにいかず、出発を遅らせた車両もあります。こういった場合、アプリを使わずに出発するか等、臨機応変な判断も難しいところでした。

Cone・Xi 案内する高木さん
写真左が高木さん

利用者の方達からは、以下のような話を聞くことができました。

  • 移動のこと、会場に来てからのこと、どちらもサポートしてもらえたので、安心して楽しむことができました。
  • 普段、出かける機会がなかなかなく、1年ぶりの長距離移動ができ、うれしいです。

「無理せず看護師として働ける環境をつくり、看護業界の人材不足を解決していきたい」と話していた高木さん。実証実験により得られた気づきを、今後の活動に活かす予定です。

Cone・Xi 集合写真
看護の様子

おわりに

移動による感動体験の創出にチャレンジした2チーム。仲間とのコミュニケーション、カーレース観戦、イベント会場での様々な体験等を通して、会場は実際に訪れるからこそ生まれる笑顔に溢れていました。実証実験で得られた成果や課題を次に繋げ、未来へ進むそれぞれのチームの活躍が楽しみです。

岡山国際サーキットday2

Mobility for ALL 実証動画

実証実験の様子を、動画でも紹介します。

株式会社ePARA

株式会社Cone・Xi/一般社団法人ソーシャルアクション機構

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