病気やケガで入院している子ども達は、長引く闘病・療養生活に対して不安を覚えるかもしれませんし、遊んだり学んだりしたくてストレスを抱えているかもしれません。
そんな入院中の子ども達に、「遠隔地からのレース観戦を通して、ワクワクする体験を提供したい」。
トヨタ自動車九州株式会社 MaaSプロジェクト室 主幹の岩橋朋子(いわはし ともこ)さんらは、子ども達に明るい未来を届ける試みに奮闘中です。
長期闘病・療養中の子ども達にワクワクを!
福岡市立こども病院には、病気やケガと闘っている多くの子ども達がいます。外に出ることが難しい子ども達にとって、病室の窓から見える景色は外の世界との貴重な繋がりです。その景色の変化を日常生活の潤いとしている子ども達もいます。
子ども達を支える家族同士のコミュニケーションも、新型コロナウイルス感染症の広がりによって立ち行かなくなっているそうです。
そうした中でも、子ども達にもご家族にも、明るい変化を提供できないか。
こども病院を訪れた岩橋さんは、そんな子ども達やご家族の胸中を察して、自動車メーカーの自分達だからこそできることがあるのでは、と考えました。
外に出ることが難しい子ども達に、ワクワクする新しい体験を届けたい。
こども病院とレース会場を繋ぐ「遠隔地レース観戦」のプロジェクトが始まりました。
遠隔地レース観戦に挑戦
今回の取り組みでは、福岡市立こども病院と岡山国際サーキット、そしてトヨタ自動車九州の3つの拠点をWeb会議システム「Zoom」で繋ぎます。
拠点1:福岡市立こども病院
入院中の子ども達は、病気が良くなれば退院しますし、日中は検査や治療に向き合います。そのため、今回のプロジェクトに参加する子ども達はあらかじめ決めず、広くイベントとして告知して、そのとき参加できる子ども達に入ってもらうスタイルをとります。参加人数は30人ほどの予定です。
新型コロナウイルス感染症の第7波にあるため、子ども達は一つの場所に集まるのではなく、それぞれの病室でタブレットを使います。タブレットの大きな画面なら、子ども達に寄り添うご家族も一緒に見て楽しんでもらえます。
画面にはお友達の顔も映るので、一緒に同じ体験をしている実感も沸くことでしょう。
未就学児から小学校高学年までの子どもが対象ですが、主な年齢層は5〜6歳。
もしも子ども達が途中で体調をくずしてもすぐ気づけるよう、ご家族、病院、トヨタ自動車九州のスタッフが見守りながら配信します。
拠点2:岡山国際サーキット
会場の岡山国際サーキットから、トヨタ自動車九州のスタッフがレポートします。
実際のレースを観るだけではなく、サーキット場のリアルな雰囲気も子ども達に感じてもらいたいと考えています。
人気アニメ映画で見たような、スタートラインに並ぶ色とりどりのレーシングカー。
車を最高の状態に調整するピットのスタッフの動き。
イベント会場に並ぶ様々な屋台。
- 「どこを見たいかな?」
- 「あっちを見せて!」
- 「はい、見えますか~?」
- 「もっと近くで見たい」
- 「じゃあ、もう少し、近づいてみましょうか」
等、双方向でやり取りすることで、テレビや動画とは違う特別な体験を提供します。
ただし、闘病・療養中の子ども達にとってレースの大きな音は刺激が強すぎることもあるため、細心の注意を払います。
拠点3:トヨタ自動車九州
子ども達は一般的に乗り物が大好きです。
トヨタ自動車九州は世界中で走るレクサスの約半数を生産しています。
このトヨタ自動車九州の工場見学も、当日のコンテンツに組み入れます。
もともとトヨタ自動車九州では工場見学を積極的に受け入れ、子ども達や一般の人に向けて自動車の生産工程を紹介していました。
しかし、現在は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、リモート工場見学に切り替えています。
今回の取り組みでは、小学生向けの工場見学プログラムをもとにして、PR館のスタッフが小さな子ども達にもわかりやすいように工場を案内します。
スタジオから子ども達に声をかけ、レクサスができあがる工程を楽しくわかりやすく伝える予定です。クイズや工作も取り入れます。
この取り組みがこれからの社会にもたらすものは
今回の取り組みについて、トヨタ自動車九州の岩橋朋子さんに詳しく話を聞きました。
工夫していること
今後の展望
おわりに
「少しでも治療の時間を忘れてワクワクしてほしい。子ども達を支えるご家族にも、子ども達の笑顔を引き出すことで幸せな時間を過ごしてもらいたい」
そう話していた岩橋さん。
遠隔地からのリアルな体験が、笑顔の輪を広げてくれることでしょう。