10月15日(土)・16日(日)、岡山県津山市の岡山トヨタ PLATPORT(プラットポート)会場で開催された「スーパー耐久レース パブリックビューイングEVENT」。
「Mobility for ALL」アイデアコンテストの一次選考を通過した、株式会社シアン「遠隔アクセシブルレース観戦プロジェクト/ Boooom!(ブーン)」と、テクノツール株式会社「e-Racing Project」の実証が行われました。
16日の会場の様子をレポートします。
「誰もがレースを楽しめる」を実証
PLATPORT会場は、関係者から話を聞いて遠方から駆けつけた人、学校からの案内で興味を持った車好きのご家族、招待された津山市内の車いすユーザー等、様々な人達で賑わいました。
「行けない」を「行ける」に変える
株式会社シアンのプロジェクトの特徴は「遠隔」です。
会場に用意されたのは、VRゴーグルをつけなくても見ることができる等身大VR。
縦約2m、横約7mの巨大な湾曲スクリーンが、岡山国際サーキットで行われているレースの遠隔観戦を可能にします。
1日4回の「オンラインツアー」では、カメラがサーキット場を移動して、マシンやドライバー、ピットの光景等を映し出しました。
PLATPORTでMCを務める車いすYouTuberの渋谷真子(しぶや まこ)さんと、A級ライセンスを持つオンラインガイドの飯原夏子(いいはら なつこ)さんの軽妙なトーク。
PLATPORTにいながらサーキット会場の雰囲気を味わえました。
もう一つの実験は、ドローンの遠隔操作です。
約20km離れた岡山県美作市の展望台にあるドローンを、PLATPORTから来場者の操作で動かします。
誰でも操作しやすいようにと、今回用意されたのは大きなボタン。
体験者は自分でドローンを動かして里山の景色を楽しみました。
人に合わせた操作方法でシミュレーターレースを楽しむ
テクノツール株式会社の実証コーナーには、一日中、人が絶えることがありませんでした。
シミュレーターレースを楽しむには、その人に合った入力デバイスが不可欠です。
最初に体験者から聞き取りをし、その人に合わせてその場でプログラミング。
両手が動かせる人にはレバーとハンドルで、あごが動かせる人にはジョイスティックで、レースを体験してもらいました。
体験者のそばで声をかけ続けていたのは、元F3レーシングドライバーで、現在はレーシングシミュレーター開発に関わっている長屋宏和(ながや ひろかず)さんです。
「楽しい!」「あっ、ぶつかった!」「できた!」
体験者の楽しそうな声が響きました。
誰もが楽しめる様々なコーナー
PLATPORTには他にも、障がいのあるなしにかかわらず楽しめる企画が用意されました。
車いす体験
普通の車いすよりもカーブを回りやすいように作られているパラスポーツ用の車いすや、操作のしやすさで人気の高い電動車いす『WHILL(ウィル)』。
多くの人が試乗して初めての感覚を味わっていました。
ゲーム・ラジコン・カート
岡山県立勝間田高等学校の自動車部は、来場者に合わせて高さが変えられるクレーンゲームや、ラジコン等を自作。
ゲームを楽しむお子さん達の元気な声が上がっていました。
レーシングカーと福祉車両の展示
実際にレースで使われるトヨタの『86(ハチロク)』も会場に。
車いすのまま乗り込める車もありました。
物品販売
サーキットにしかないお土産が買えるのも、パブリックビューイング会場の魅力です。
売上の一部は、障がい者のために寄付されます。
おわりに
好天にも恵まれ、誰もが笑顔で過ごしていたPLATPORT会場。
サーキット観戦やシミュレーター体験等、「できる」ことが増えるほどに、人の笑顔が増えていくのではと感じました。
Mobility for ALL 実証動画
実証実験の様子を、動画でも紹介します。