10月15日(土)・16日(日)に岡山国際サーキットで「ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第6戦 『スーパー耐久レースin岡山』」に合わせて開催された「Mobility for ALL」。一般財団法人トヨタ・モビリティ基金が「移動の可能性を、すべての人に。」をコンセプトに、アイデアやソリューションの社会実装を目指すアイデアコンテストです。
カーレースで盛り上がる客席やイベント会場にて、一次選考を通過した17チームが最終選考に進もうと実証実験を行いました。
そんな中、実証実験をサポートしていた学生達がいます。岡山市内の就実大学・ノートルダム清心女子大学に通う2年生・4年生が、10月15日(土)には9人、10月16日(日)には8人がボランティアとして参加しました。彼女達はどのように実証実験をサポートし、どのような気づきがあったのでしょうか。
10月15日(土)の活動
10月15日(土)、学生ボランティアメンバーは、翌日障がいを持つ方をスムーズに案内できるよう準備をしていきました。客席やイベント会場、トイレの場所等を確認するほか、各チームを訪問。プロジェクトを自ら体験している様子も見られました。
一部メンバーは視覚・聴覚に障がいを持つ方の案内を実際に行いました。音声認識技術で会話をリアルタイムに文字化するアプリ「UDトーク」を使って、聴覚に障がいを持つ方とやりとりしたメンバーもいました。
学生ボランティアメンバーからは、以下の気づきや感想が出ました。
- 聴覚に障がいを持つ方と交流するのは初めてだったので緊張したけれど、気さくに接してくださりほっとしました。
- カーレースの音が想像以上に大きくて、声が届かないので身ぶり手ぶりが大切になると感じました。どうしたら伝わるか工夫する必要があります。
- 印象に残ったプロジェクトは、九州工業大学のメンバーで構成された「すぐ創る課」の福祉メタバースです。紙の地図だとわからない情報、例えば車いすが通れる場所や坂道等が再現されていてすごいと思いました。さらにそれを大学院生が2か月で作ったと聞いて驚きました。
- 印象に残ったプロジェクトはピクシーダストテクノロジーズ株式会社の「SOUND HUG(サウンドハグ)」です。実際にボールを抱えると振動が伝わり、聴覚に障がいを持つ方はこうして音を感じるんだと体感できました。
10月16日(日)の活動
10月16日(日)、学生ボランティアメンバーは事務仕事の補助を行い、前日に得た知識をもとにより多くの方に同行し、会場を案内しました。
アプリ「UDトーク」やジェスチャーを使って書類作成を補助し、15時以降は視覚・聴覚に障がいがある方に付き添い会場を案内したメンバーが3人。終日、会場を案内したメンバーが5人です。
実証実験のスケジュールに沿って、決まった時間にその場に案内したり、自由行動時間には行ってみたい場所を聞き取って案内したりしました。特に工夫が必要だと感じたのは、視覚に障がいを持つ方の案内だったようです。
学生ボランティアメンバーからは、以下の気づきや感想が出ました。
- 90度に右に曲がる場合は「右に曲がってください」という単純な言葉で伝えられるけど、実際はちょっと斜めの道等がほとんどで、微妙なニュアンスを言葉で伝えるのが難しかったです。
- 「行列に2人待っている」と自分は目で見てわかるけれど、視覚に障がいがある方には「そうだ、これも言わないと伝わらないんだ」と気づき、伝えました。
- 会場のちょっとしたケーブルや、段差等、普段自分が歩く上では気にかけないことを気にかける必要がありました。
- 障がいがある方が、自力でどこまでできるのかわからなかったです。補助しすぎると迷惑になるのかなと思い、様子を見ながらサポートしました。
おわりに
会場の案内や対話を通じて、障がいを持つ方の目線で世界を見た彼女達。多くの気づきがありました。「今回は障がいを持つ方のサポートでしたが、年配の方、子育て中の方等にも、同じような配慮が必要になってくると思いました」という言葉も聞けました。
「Mobility for ALL」のコンセプト「移動の可能性を、すべての人に。」の言葉通り、障がいを持つ人のみにとどまらないユニバーサルな視点が得られたのではないでしょうか。